花が少なくなる冬から春。ひときわカラフルな花色をもつプリムラは、冬のガーデニングで人気の花の一つです。冬の花壇や寄せ植えなどに使えば、ぱっと明るく華やかになります。
プリムラは品種が多く、その数500種以上。小柄なプリムラ・ジュリアンや、一回り大きいプリムラ・ポリアンサ、そして段咲きのプリムラ・マラコイデスなど、主なプリムラ5種類を紹介します。
プリムラとは?個性的な5種類がそろいます
プリムラとは、サクラソウ科サクラソウ属の植物です。プリムラという名前は、ラテン語の“primus”(最初)からきたもの。春に先駆けて咲くことから、プリムラと名付けられました。
主なプリムラの種類には、次の5つがあります。
- プリムラ・ジュリアン
- プリムラ・ポリアンサ
- プリムラ・マラコイデス
- プリムラ・オブコニカ
- プリムラ・シネンシス
プリムラは品種ごとに個性がさまざま。プリムラと聞いて連想するカラフルな種類はもちろん、ふんわり淡い色合いのものもあります。
また、よく見かける横に花を広げるプリムラもあれば、段状に重なって咲く立体的なプリムラの種類もあります。
春を告げる花、プリムラの魅力を存分に愉しみたいものですね。一般的なプリムラ・ジュリアンから順に、一つずつ見てみましょう。
■プリムラの種類(1)カラフルな小輪が愛らしい「プリムラ・ジュリアン」
プリムラ・ジュリアンは、冬の花壇や寄せ植えで人気の花です。
その魅力は何と言っても、赤やピンク、白に黄色といったポップな色彩です。小型で可憐な雰囲気も魅力ですね。
プリムラ・ジュリアンは、二つの品種を掛け合わせて作られました。
一つは、背丈の低い「プリムラ・ジュリエ」という品種。そしてもう一つが、大きな花を咲かせる「プリムラ・ポリアンサ」。
そう、プリムラジュリアンは、両方のいいとこどりをした品種です。コンパクトにまとまりつつ、花自体の大きさはしっかり。そして、花のまわりを鮮やかなグリーンの葉が縁取ります。
ヨーロッパ原産であるプリムラ・ジュリアンは、寒い中でも元気。ガーデニング初心者にも育てやすい品種です。
ぜひ冬の花壇や寄せ植えに、プリムラ・ジュリアンを使ってみてください。ぱっと明るく華やかな世界観が生まれます。
プリムラ・ジュリアンは色数が多くそろっていて、“黒以外はすべてある”と言われるほど。きっと好きな色や、イメージに合う色と出会えるはずです。
コンパクトにまとまるので、「育てるうちに大きくなりすぎた……」ということがありません。その分、最初からある程度ぎゅっと詰める間隔で植えておきましょう。
最近では、フリル咲きや八重咲き、バラ咲きなど、花姿が印象的なプリムラ・ジュリアンも増えています。
たとえば、こちらの「プリムラジュリアン マスカットジュレ」は、バラ咲き品種です。
花苗 宿根草 フリル咲きプリムラ ジュリアン・マスカットのジュレ 1株 プリムラ 苗 冬咲き 鉢植え 庭植え 花の苗 ガーデニング 寄せ植え等に
マスカットゼリーのような爽やかな色合いが、従来のプリムラ・ジュリアンとは異なる表情を見せてくれますね。
プリムラ・ジュリアンを使った冬の寄せ植えを作るコツは、別記事で詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧くださいね。
プリムラの種類(2)カラフルな大輪が見事な「プリムラ・ポリアンサ」
プリムラ・ポリアンサは、プリムラ・ジュリアンの大輪タイプです。厳密に言えば他にも違いはありますが、現在では「小輪の花がジュリアン、大輪の花がポリアンサ」と分類されるのが一般的です。
短めの花茎を伸ばし、株元で咲く大輪の花はとても見事。プリムラ・ジュリアンと同じく、冬の花壇や寄せ植えで活躍します。
ポップな色彩のものを選ぶと、花壇がアートを描いたキャンバスのようになり、見ごたえがあります。
同じ色のトーンでまとめたり、さまざまな色合いを配してポップに仕上げたり。また、黄色と紫のように補色を使うことで、印象的な花壇に仕上げることもできます。
他にも、ストライプ柄が印象的な品種もあります。
プリムラ 春らんらん ブルーストライプ 縁を彩る2色咲き 1株 冬咲き 苗 鉢植え 庭植えガーデニング 寄せ植え等に 花の苗
花が少なくなる冬から春。園芸店で必ずといっていいほど売られている花なので、ぜひとも取り入れたい花の一つです。
プリムラの種類(3)段状に花を咲かせる「プリムラ・マラコイデス」
プリムラ・マラコイデスも、早春の花として人気のプリムラです。
株元で咲くのではなく、いわゆる段咲きタイプ。細い花茎を伸ばし、細かく繊細な花が段をなしながら咲きます。
小花が鈴なりに咲くさまは、とても可憐。花壇やプランターに植えると、春風を想わせる優しげな雰囲気です。
ちなみに、プリムラ・マラコイデスの和名は「化粧桜」(ケショウザクラ)。この名前は、葉に白い粉がかぶっていることに由来します。
化粧をほどこした、ひと足先に咲く桜。とても風流な名前ですね。にぎやかに可憐な花が咲くさまは、たしかに日本の春の風景を想わせます。
プリムラ・マラコイデスの中で、近年人気を集めているのが、「ウィンティ」です。
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ウィンティは、『サントリーフラワーズ』が作った花。キャッチコピーの「優しい色合いに、ふんわり草姿」の言葉通り、パステル調の花が優しく咲き溢れます。
ウィンティは色も豊富です。たとえば、アンティークな色調が印象的な「ピンク」。ピーチピンクが、イエローグリーンへと咲き進みます。
他には、爽やかな「ライムグリーン」や、ほんのり優しい「サクラ」や、透明感のある淡い紫色が印象的な「ダブルライラック」もあります。
ウィンティがガーデニング好きの方から人気を集めるのは、美しい花色や花姿だけではありません。花もちがいい上に、なんと半日陰でも愉しめるのです!
冬の半日陰は特にさみしくなりがち。ウィンティがあれば、ずいぶん明るく優しげな空間に生まれ変わりますね。
プリムラの種類(4)室内の鉢花として人気の「プリムラ・オブコニカ」
プリムラ・オブコニカは、室内の弱い光でも咲くため、室内の鉢花として人気のプリムラです。
プリムラ・オブコニカの花は、大ぶりでボリュームがあります。ただし花姿は、まるで日本のサクラソウのよう。とても上品な雰囲気です。
プリムラ・オブコニカが人気を集める理由は、次々と大輪を咲かせるから。いったん咲き始めると、葉の間から次々と花茎を伸ばし、長い間愉しめるのです。
寒い季節、室内にプリムラ・オブコニカがひと鉢あると、見るたびに幸せな気持ちになれそうですね。
ただし注意したいのが、プリムラ・オブコニカが持つ“プリミン”という成分。体質によってはかぶれを引き起こすため、注意が必要です。
近年では、品種改良によってプリミンをほぼ含まないプリムラ・オブコニカも登場しています。
たとえば、オランダのスクーネベルド社が育成した「タッチ・ミー」シリーズ。ほぼプリミンを含まず、お肌が敏感な方も安心です。
プリムラの種類(5)「プリムラ・シネンシス」
プリムラ・シネンシスは、桜のような花びらをもつステラタ系の品種が人気を集めています。花茎の先に、輪状に咲く花姿が印象的ですね。
純白の花色を持つプリムラ・シネンシスは、清楚で優しげな雰囲気です。手のひら型に切れ込んだ、ユニークな葉の形にも個性が感じられます。
葉色は、オリーブのような色味。桜を想わせる花びらとセットになると、野趣に富んだ雰囲気です。モダンな和庭とも合わせやすいプリムラの種類です。
見慣れたカラフルなプリムラの印象が強いと、何だか物足りない……そんな風に感じるかもしれません。
でもプリムラ・シネンシスには素朴で愛らしい風情があり、見れば見るほど魅了されてしまいます。
素焼きの鉢に植えてみたり、花壇の縁にそっと植えてみたり。さりげない可愛さを愉しみたい方は、ぜひプリムラ・シネンシスを探してみてくださいね。
プリムラ5種類、一体どれを選べばいい?
ここまで代表的なプリムラ5種類を紹介してきました。「一体どれを選べばいい?」という方のために、選ぶ基準をお伝えします。ポイントは、プリムラの「色」と「背丈」です。
プリムラの選び方(1)カラフル?それとも淡い色?
ガーデニングで育てたいプリムラは、カラフルな品種でしょうか?それとも、可憐な色合いのものでしょうか?
プリムラといえば、まるで絵本の世界のようなカラフルなイメージですね。でも、ここまで見てきたように、すべてのプリムラがカラフルというわけではありません。
プリムラの種類は、よく知っているカラフルな品種と、可憐な雰囲気の品種に大きく分かれます。
豊かな色彩をもつプリムラは、ヨーロッパ生まれ。たとえば、プリムラ・ジュリアンとプリムラ・ポリアンサは、ヨーロッパ原種でカラフルな色彩を持っています。
赤やピンク、オレンジ、青、紫など。まるでカラフルなキャンディのような、ポップな色のプリムラをお探しなら、プリムラ・ジュリアンやプリムラ・ポリアンサがおすすめです。
一方、アジアの低地に自生するプリムラは、可憐な印象。プリムラ・マラコイデスやプリムラ・オブコニカ、プリムラ・シネンシスなどの中から探しましょう。
プリムラの選び方(2)背丈は低め?それともやや高め?
冬の花壇や寄せ植えに取り入れたいプリムラは、背丈が低めの品種でしょうか?それとも、やや高めの品種でしょうか?
背丈が低めの品種を使いたいなら、花茎が伸びないタイプを選びましょう。
たとえば、プリムラ・ジュリアンやプリムラ・ポリアンサは、花茎がさほど伸びません。葉の上でまとまって花を咲かせるので、株をコンパクトにまとめることができます。
一方、背丈がやや高めの品種を使いたいなら、段咲きタイプや花茎が伸びるタイプのプリムラを選びましょう。
段咲きタイプならプリムラ・マラコイデスが代表品種です。花茎が伸びるタイプには、プリムラ・オブコニカやプリムラ・シネンシスがあります。
それぞれに個性があるプリムラの数々。春を待ちわびる冬から早春にかけ、存分に魅力を愉しみたいものですね。
まとめ
プリムラはラテン語の「最初」の意味の通り、冬から春にかけて咲く花。冬の花壇や寄せ植えでたくさん咲かせると、春が待ち遠しくなります。
プリムラは人気があるため、毎年新しい品種が出てくる花でもあります。定番のプリムラはもちろん、新たなカラーや表情のプリムラを探すのもまた、愉しいひとときですね。