黄色いポンポンのような愛らしい花をたっぷりつけ、いち早く春を告げるミモザ。繊細な葉も美しく、常緑のシンボルツリーや庭木としても人気です。コンパクトにまとまる品種なら、コンテナで育てても雰囲気があります。
自宅にミモザの木があれば、花束にしたりリースにしたり、スワッグにしたり。愉しみ方もいろいろです。植えるなら知っておきたい、人気のミモザ6種類を紹介します。
「ミモザと言えば?」の代表的なミモザ2種類
まずは、ミモザの種類で代表的な2種類から。「ミモザと言えば?」の主な種類は次の2つです。
- ギンヨウアカシア(銀葉アカシア)
- フサアカシア(房アカシア)
ギンヨウアカシアとフサアカシア。ミモザが好きな方なら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?それぞれの特長や魅力などについて見てみましょう。
ミモザの種類(1)ギンヨウアカシア(銀葉アカシア)
「よく見かけるミモザに惹かれる」「我が家もあのミモザをシンボルツリーに」と考えるなら、まず候補に挙がるのがギンヨウアカシアです。
ギンヨウアカシアは名前の通り、銀色を帯びた葉が魅力的なミモザの種類。日本でミモザといえば、ギンヨウアカシア(銀葉アカシア)を指すのが一般的です。
寒さに強く、お手入れしやすいというのも、シンボルツリーや庭木として人気を集める理由の一つ。苗木で植えたわが家のミモザも、ぐんぐん成長。2年目には花が咲き、4年でおよそ6mにまで成長しました。
例えばこちらは、3月下旬の様子。
咲き進むと黄色が鮮やかになり、まるで絵の具のチューブから絞り出したかのよう。青空を背景に、くっきりとした黄色。春の喜びが感じられる幸せな光景です。
葉には細かい切れ込みが入り、まるで小さな羽のようにも見えます。とても繊細な葉姿です。
春風がそよそよと吹けば、ポンポンのような花と繊細な葉も優しくゆらゆら。とても情緒があります。
花が咲くのは、3月~4月ごろ。ふわふわとしたレモンイエローの小花が、枝葉を埋め尽くすほど咲き溢れます。
柔らかな空気の中で咲くミモザは、とても鮮やか。空からこぼれんばかりに咲く光景は見事です。
ミモザの種類(2)フサアカシア(房アカシア)
フランスやイタリアでミモザといえば、フサアカシアのこと。伸びやかな枝ぶりが見事ですね。
ただし、日本の庭でフサアカシアを育てるというのは、かなりレアなケースです。
なぜなら、フサアカシアは巨木になりすぎるから。なんと成長すると、数十メートルという高さになるのだとか。
日本でも、公園などの広場ではフサアカシアを見かけることがあります。でも、自宅で育てるには大きくなりすぎですよね。
そこで日本では、小さいうちから花をつけ、大きくなりすぎないギンヨウアカシアがよく出回っているというわけです。
ちなみにフサアカシアとギンヨウアカシアの違いは、樹高以外にもあります。ポイントは「開花時期」「葉の長さや色」「花の香り」の3つです。
1) 開花時期
フサアカシアは、ギンヨウアカシアより開花時期が早めです。
ギンヨウアカシアの花がお目見えするのは、春の陽気が漂い始める3月に入ってから。一方のフサアカシアは、まだ寒さの残る2月ごろから黄色い花を咲かせます。
もちろん地域差もありますが、おおむね開花時期はこの通り。
- フサアカシア・・・・・・・・・・2~4月ごろ
- ギンヨウアカシア・・・・・・3~4月ごろ
ぜひフサアカシアが植わっている場所を探してみてください。毎年ひと足先に、ミモザの鮮やかなイエローと出会うことができます。
2)葉の長さや形、触り心地など
葉の長さや形、触り心地も、フサアカシアとギンヨウアカシアを見分けるポイントの一つです。
フサアカシアの葉は、ギンヨウアカシアと比べて格段に長いのが特長です。ついている小葉の数は倍以上。見たら、普段見慣れたギンヨウアカシアではないことは一目瞭然です。
こちらがフサアカシアの葉。とても葉が長く、存在感がありますね。
樹木苗 房アカシア(フサアカシア) (アカシア デアルバタ) 3号ポット
そしてこちらが、ギンヨウアカシアの葉。
見比べてみると、葉の長さが違いますよね。葉のつき方が違うのも、お分かりいただけると思います。
ちなみに、フサアカシアとギンヨウアカシアは、葉の触り心地も違います。フサアカシアはふさふさと柔らかい葉。ギンヨウアカシアは見た目の繊細さとはイメージが異なって、触ると意外と硬く締まっているのです。
つまり葉の違いをまとめると、こうなります。
- フサアカシア・・・・・・・・・・長くて、ふさふさと柔らかい葉
- ギンヨウアカシア・・・・・・短めで、やや硬く締まった葉
ぜひフサアカシアを見かけることがあったら、葉の様子を観察してみてくださいね。
3) 花の香り
ふんわり濃厚な花の香りが感じられるのも、フサアカシアの特長です。
フサアカシアの花の香りは「蜂蜜とアーモンドミルクを足した香り」と例えられます。濃厚で甘やかな香りは、ミモザのたっぷりとした黄色とイメージが重なり合いますね。
ヨーロッパでミモザは、香水の原料としても愛されています。たとえばこちら、『サンタマリアノヴェッラ』の「オーデコロン ミモザ」。
ミモザの香りをまとえば、ヨーロッパの春の風景を思い出し、気分まで明るくなりそうです。
ただ、いわゆるミモザの香りといえばフサアカシアですが、ギンヨウアカシアにも香りがあります。
パウダリーで青々しいフレッシュな香りは、春の野原を想わせる爽やかさ。想像しただけで、早春の日差しに包まれているかのような気分になりますね。
ギンヨウアカシアの葉色が違う!ミモザの種類
日本で広く出回っているギンヨウアカシアは、葉色の異なる品種も人気を集めています。新緑の季節の紫色が印象的な、ギンヨウアカシア・プルプレアを紹介します。
ミモザの種類(3)ギンヨウアカシア・プルプレア
プルプレアは、ギンヨウアカシアの一種です。「花だけではなく、葉色でも季節感を」という方は、ギンヨウアカシア・プルプレアがおすすめです。
ギンヨウアカシア・プルプレアの魅力は、何と言っても新芽の時期の葉色です。
枝先についた若い葉は、濃い赤紫色。枝元の緑葉とのグラデーションも美しく、庭にアクセントを添えてくれます。
ご近所に、ギンヨウアカシア・プルプレアをフロントガーデンに植えているお宅があります。もちろん花咲く季節も美しいのですが、春の芽吹きの季節もお見事。
冬が終わりに近づく頃、葉が紫色に染まり出します。レンガ造りの建物と調和して、ならではの雰囲気です。
夏には銀色がかった色へと変化しますが、その分また、春の芽吹きの季節が愉しみになるミモザです。
知れば知るほど奥深い!ミモザの種類
ここまで代表的なミモザの種類を見てきました。次を紹介する前に、ちょっとだけ豆知識を。
私たしはギンヨウアカシアを見て、ミモザと呼んでいます。でも本当は、ミモザとは「オジギソウ」を指す言葉。オジギソウの学名は“Mimosa pudica”。たしかに「ミモザ」という言葉が入っていますよね。
なぜミモザが、オジギソウの学名で呼ばれるようになったのでしょうか?その秘密は、葉の形にあります。まずは、これがオジギソウの葉。
そして、こちらがギンヨウアカシアの葉。そっくりだと思いませんか?
元はといえば、葉がオジギソウに似ていることから、ミモザと呼ばれるなったのだとか。いわばミモザは通称。そしてミモザという言葉は、「アカシアの仲間の花」の総称になったのです。
なぜこのタイミングでオジギソウの話をしたかというと、次から紹介するミモザ3種類は、オジギソウのような葉ではないため。でも、ミモザと聞いて想像する、黄色い花を咲かせます。
オジギソウのような葉ではないものの、逆を言えば葉の形や色が個性的だったり、コンパクトなサイズにまとまるので植えやすかったり。
ミモザを庭に植えるなら、知っておいて損はないミモザの種類です。ぜひ参考にしてくださいね。
葉の形や色が個性的なミモザ3種類
ここまで前置きしたように、葉の形や色が個性的なミモザもあります。人気があり、手に入りやすいのは次の3種類です。
- パールアカシア(丸葉アカシア)
- サンカクバアカシア(三角葉アカシア)
- アカシア・ブルーブッシュ
名前から想像できる通り、ちょっと変わった葉の形や色が愉しめるミモザの種類です。一つずつ特長や魅力を見てみましょう。
ミモザの種類(4)パールアカシア(丸葉アカシア)
「ユーカリの丸く愛らしい葉が好き」という方なら、パールアカシア(丸葉アカシア)がおすすめです。
パールアカシアの葉は丸みを帯び、ユーカリを想わせる愛らしさです。白く小さな毛が生えているので、ビロードのような滑らかな質感。真珠色のような葉色も魅力です。
アカシア シンボルツリー 60cm〜80cm【パールアカシア 樹高0.6m〜0.8m】
生育はゆっくり、じっくりタイプ。樹高の目安は1~2mほど。どんなに大きくなっても3mと言われています。
パールアカシアは、根元から複数の枝が上に伸びる、いわゆる“ブッシュ状”と呼ばれるタイプ。こんもりしながら成長します。
剪定すれば小さく楽しむこともできるので、広いスペースがとれない庭やコンテナでも愉しめますね。
ミモザの種類(4)サンカクバアカシア(三角葉アカシア)
「ちょっと変わったミモザを植えたい」という方なら、三角葉アカシアもおすすめです。
三角葉アカシアはその名の通り、ユニークで愛らしい三角形の葉が特長です。花が咲かない季節は印象的な葉が目立ち、庭のアクセントになりますね。
パールアカシアと同じく、さほど大きくなりません。葉の形を愉しむ庭木として植えたり、コンテナの寄せ植えに使ったり。葉の形が生かせる植え方ができます。
ミモザの種類(6)ギンヨウアカシア・ブルーブッシュ
個性的な葉色がお好みなら、ギンヨウアカシア・ブルーブッシュも人気のあるミモザです。
アカシアブルーブッシュは、シルバーブルーの葉色が印象的。そしてギンヨウアカシアと比べると、葉の面積が広め。葉だけのときでも存在感があります。
アカシア・ブルーブッシュは葉が個性的なので、切り花の添え葉としても活躍してくれます。すっと伸びる枝の姿も、潔い美しさがありますね。
アカシア・ブルーブッシュは、ぐんぐん伸びるタイプ。大きく成長すると高さが5mを超えることもあるのだとか。
しっかりとした樹高と、まっすぐ伸びる枝ぶり、そして何より春空を飾る黄色い花が美しく、シンボルツリーとてして人気がある品種です。
ミモザ6種類、一体どれを植えればいい?
ここまで人気のミモザ6種類を紹介してきました。巨木になるフサアカシアは除くとして、シンボルツリーや庭木には、一体どれを選べばいいのでしょうか?
そこで「このミモザは、こんな方に!」と整理してみました。
- ギンヨウアカシア・・・・・よく見かけるミモザをシンボルツリーに、という方
- プルプレア・・・・・・・・・・・葉色でも季節感を愉しみたい方
- パールアカシア・・・・・・・ユーカリの丸い葉が大好きな方
- 三角葉アカシア・・・・・・・ちょっとユニークなミモザを植えたい方
- ブルーブッシュ・・・・・・・潔く洗練された樹木の姿が好きな方
どのミモザを植えようかなとも迷ったら、ぜひ参考にしてくださいね。
ドライにしたときの質感も違います!
もう一つ選ぶ基準を挙げるなら、ドライにしたときの葉の違いです。
自宅にミモザがあれば、リースを作ったりスワッグを作ったり。ドライにして、長く花を愉しむことができます。
ギンヨウアカシアをドライにすれば、小葉が連なる繊細な葉姿が愉しめます。ただし乾燥させると、パラパラと散りやすくなるという面もあります。
パールアカシアや三角葉アカシア、そしてブルーブッシュは、葉のサイズが大きめ。ドライにすると、その個性的な葉姿とボリューム感が愉しめます。
鮮やかな黄色が印象的な春の花、ミモザ。切り花にリースに、スワッグに。自宅で育つミモザの使い道を考えると、それだけで気持ちが浮き立ちますね。
まとめ
シンボルツリーや庭木にするなら、代表的なミモザの種類はギンヨウアカシアです。ただし大きくなりすぎないとはいえ、あくまでフサアカシアと比較した場合。あっという間に5mほどに成長します。十分なスペースを確保して植えてくださいね。
個性的な葉が好きなら、違うミモザを選びましょう。パールアカシアや三角葉アカシア、ブルーブッシュなど、好みの葉の形や葉色のものを選ぶと愉しいですね。