自宅スペースには、どうしても建物や生垣などで日陰ができてしまうもの。でもガーデニングをあきらめる必要はありません。日陰でも育つ花を植えて、季節ごとの彩りを愉しみましょう。
北向きの玄関やアプローチなどの日陰スペースも、日陰でも育つ花を植えれば立派なシェードガーデン。日陰でも咲く背丈の低い花を、春夏秋冬と四季別で24種類紹介します。
日陰でも咲く花【春編】
暖かくなる春は、明るい日向はもちろんのこと、日陰でも咲く花が増える季節です。青紫の花をタワー状に咲かせるアジュガや、釣鐘型の清楚な花を咲かせるスノーフレークなどが、次々と開花します。
春爛漫の景色を愉しむために、シェードガーデンに日陰でも育つ花を植えておきましょう。
日陰でも育つ花(1)アジュガ
アジュガは、日陰でも咲く花の代表選手。4月から6月にかけて、青紫やピンク、白などの花を、タワー状に咲かせます。群生したアジュガが咲くと、はっとするような美しさです。
ちょうど桜の便りが届き始めるころ、アジュガは花茎を上げ始めます。桜の開花を心待ちにそわそわしていると、アジュガも日陰で咲き始め、一気に春へと向かいます。
アジュガの魅力は、手間をかけなくても日陰でどんどん増えていくこと。数株植えるだけでも這うように広がり、あたりを美しい葉で埋めてくれます。
アジュガはとにかく日陰に強く、1日数時間日が当たれば大丈夫。落葉樹の下や建物の東側などに植えてあげましょう。
アジュガは寒さにも強いので、冬も葉が茂ったまま。花咲く春はもちろんのこと、一年中カラーリーフとして活躍します。日陰のグランドカバーとしても優秀で、頼りになる存在です。
葉色や模様もさまざまで、斑入りやトリカラー、ライムゴールドなどがあります。詳しくは別記事で紹介しているので、ぜひご覧くださいね。
日陰でも育つ花(2)スノーフレーク
スノーフレークは、スズランに似た花を咲かせる花です。
釣鐘型の花がうつむき気味に並ぶさまが、とても可憐ですね。花びらの先のフリルも清楚で、品のある姿です。
特に可愛いのが、そよ風が吹いたとき。小さな花が軽やかに揺れると、とてもチャーミングで見とれてしまいます。
スノーフレークが咲くのは、本格的な春が訪れる3~5月ごろ。植えっぱなしにしておくと、どんどん増え、毎年春の日陰の庭を可愛く彩ってくれます。
スノーフレークが好む環境は、冬は日向になり、それ以外は日陰になる場所。落葉樹の下や、一日のうち数時間は日が当たる生垣の傍などに植えておきましょう。
夏になるといったん葉が消えてなくなりますが、春になるとまた芽吹きます。しかも年々増えていくのもスノーフレークの魅力です。
日陰で咲くスノーフレークは、何とも言えない気品があります。ぜひ植えっぱなしで育てて、群生した光景を愉しんでくださいね。
日陰でも育つ花(3)すずらん
スズランが咲くのは、4月~5月ごろ。新緑が薫りだす頃、優雅で気品ある姿を見せてくれます。何だか優しい鈴の音が聞こえてきそうですね。
おしとやかな花姿のスズランは、夏の直射日光が苦手。でも、秋から春までは別。できるだけ日光を当ててあげたほうが、愛らしい花をたっぷりとつけてくれます。
育てる場所で適しているのは、落葉樹の下などの“明るい日陰”です。夏以外は優しい木漏れ日が降り注ぎ、夏は葉陰に隠れることができる場所で育ててあげましょう。
なお日本で育つスズランには、大きく分けて2種類あります。一つは日本原産のスズラン、そしてもう一つがヨーロッパ原産のスズラン(ドイツスズラン)です。
日本原産のスズランは、涼やかな環境を好みます。いわば北海道などの冷涼地向けスズランです。そのため主に、ドイツスズランが出回っています。
ドイツスズランは、とても丈夫。葉も幅広く大きく伸び、花が葉の上にまでせり出して咲きます。花の香りが豊かなことも魅力です。
ちなみにフランスでは、5月1日は「すずらんの日」。大事な人にスズランを贈る風習があり、受け取った人に幸せが訪れると言われています。
シェードガーデンでスズランを育てて、大事な人にスズランの花束を贈るのも粋ですね。
日陰でも育つ花(4)ハナニラ(イフェイオン)
ハナニラは、春になると藤色やピンク、白など優美な星型の花をたくさん咲かせる植物です。園芸店では「イフェイオン」という名で売られていることもあります。
ハナニラは、洋風の庭にも和風の庭にもよく合います。まとめて植え込むと、開花期には見事な春の風景になります。
ハナニラの魅力は可愛さだけではありません。とにかく丈夫で、植えっぱなしでよく増えます。日向を好みますが、半日陰でも十分元気に育ちます。
開花するのは3月から4月ごろ。黄色の花を咲かせる黄花ハナニラはやや早め。2月ごろから咲き始めます。
日陰のちょっとしたスペースに花を群生させたいなら、ぜひハナニラを植えてみてください。藤色のハナニラも白のハナニラも、そっと寄りたくなるような優しい光景を作ってくれます。
日向から半日陰まで育つので、一日のうちで日差しが変わるフロントガーデンにも植えられます。オリーブなど洋風の樹木の下にハナニラを植えると、とても愛らしくなります。
また乾燥に強いので、ロックガーデンや石垣の上にも適しています。ナチュラルな雰囲気が石の風情ともよく合います。
葉は細長く、明るめの緑色。夏にはいったん葉が消えますが、秋の終わりごろには葉が伸び始めます。冬の庭をさわさわとした葉が満たし、明るくしてくれるのもハナニラの魅力です。
日陰でも育つ花(5)ツルニチニチソウ
ツルニチニチソウは、鮮やかな葉の間から、青や白の花を咲かせる“つる性”の植物です。
花期は、本格的な春が到来する3月下旬から、梅雨を迎える6月ごろまで。長い間かけて、爽やかな花色でシェードガーデンを満たしてくれます。
ツルニチニチソウの魅力は、しなやかに伸びるつると、常緑の葉の美しさ。年中グリーンなので、日陰のグランドカバーとしてナチュラルな雰囲気を演出してくれます。
ツルニチニチソウには、斑入りの葉をもつ品種もあります。
斑が入ると、明るい雰囲気になりますね。花つきはやや劣りますが、日陰の庭をぱっと明るくしてくれるのはうれしいポイントです。
日陰でも育つ花(6)ミヤコワスレ
ミヤコワスレは、落ち着いた和の情緒を漂わせる花です。花色は濃い紫が主流ですが、淡青色やピンク、白などもあります。
凛とした姿が、どことなく秋の花を想わせる花ですが、春の花です。4月から6月にかけて花を咲かせます。
ミヤコワスレは、日本の山地に自生するミヤマヨメナから作られた園芸品種です。日本の気候に合っていますが、暑さは苦手です。夏は半日陰になる場所で育ててあげましょう。
たくさん育ったら、切り花にもできます。
優しくしとやかな花姿は、和の雰囲気とよく合いますね。
日陰でも育つ花(7)ケマンソウ(華鬘草)
ケマンソウは、ハート型の花が連なって咲く、とてもチャーミングな花です。
花色は濃い桃色が一般的ですが、白い花を咲かせるものもあります。
ケマンソウの名前の由来は、仏殿を飾る装飾品「華鬘(けまん)」に似ていることから。4月から5月にかけて、日陰で咲く花としてシェードガーデンで花開きます。
長い花茎から花を一列につり下げるさまは、まるで釣りの風景のよう。花を鯛に見立てて「タイツリソウ」(鯛釣り草)とも呼ばれます。
ユニークな形をしたケマンソウは、見る人の想像力をかき立てる花なのですね。
ケマンソウは、半日ほど日光が当たる日陰や、一日中明るい日陰で育てます。秋から冬にかけてはいったん地上部が消えますが、春になると芽吹きます。
落葉樹の株元などに植えておけば、春にまたハートが揺れるのが愉しみになりますね。
日陰でも育つ花(8)ティアレラ
ティアレラは、シェードガーデンの定番として人気の植物です。切れ込みが入ったカエデのような葉が可愛く、グランドカバーとしても活躍します。
葉色のカラフルさでは、ティアレラの仲間であるヒューケラに一歩譲ります。でも花つきの良さでは、ティアレラに軍配が上がります。
ティアレラの花期は、4月から5月ごろ。茂った葉の間から花茎を伸ばし、ふわふわとした花を咲かせます。花色も白からごく淡いピンクと柔らかく、まるで春霞のような風情です。
ヒューケラと比べると、ティアレラは全体的にややコンパクト。茂りすぎることがないので、花壇の縁などに植えておくといいでしょう。
なお、ティアレラの仲間であるヒューケラや、ヒューケラとティアレラの交雑種であるヒューケレラは、夏に花を咲かせます。
シェードガーデンの一角に、“ヒューケラの仲間コーナー”を作っておくと、少しずつ花期がずれ、年中美しいリーフガーデンとしても鑑賞できます。
日陰でも育つ花(9)ベロニカ・オックスフォードブルー
ベロニカ・オックスフォードブルーは、ナチュラルな雰囲気が可愛い花です。春の野原でおなじみの、オオイヌノフグリによく似ていますね。
ベロニカ・オックスフォードブルーが花咲くのは、4月から5月ごろ。青みがかった濃い紫色の花を、株を覆うようにびっしり咲かせます。
一度植えて根付くと、とにかく丈夫。暑さ寒さに強く、日陰でも育って手間いらず。這うようにして、どんどん広がります。
生長しても、草丈10cmほど。日陰の庭の小径沿いなどに群生させると、春になると見事な青の絨毯が出現して見事です。
ベロニカ・オックスフォードブルーは、葉色の変化も愉しみの一つです。秋になると葉色は銅色を帯び、秋の落ち着いた風情を見せてくれます。
ベロニカ・オックスフォードブルーは、日陰で咲く花としても、日陰のグランドカバーとしても頼りになる植物です。
特に、ブルー系の花を咲かせるグランドカバーは貴重な存在です。しかも丈夫とあっては、人気を集めるのもうなずけますね。
日陰でも育つ花(10)グレコマ
グレコマは、丸くて小さな葉が可愛い植物です。日陰でも育つグランドカバーとして、ガーデニングでは定番ですね。
常緑の葉を茂らせるグレコマは、4月から5月にかけて淡い紫色の花を咲かせます。葉の雰囲気とよく合います。
グレコマは、とても丈夫な植物です。明るい日陰や半日陰などのスペースに植えておくと、這うようにして広がります。
葉が小さく、敷石の間のようなわずかなスペースでも育つので、日陰の“ちょっとしたすき間”を植えるのにも適しています。
なお日陰に植えるなら、白い斑入りのグレコマが人気です。
草花の苗/斑入カキドオシ(グレコマ)2.5〜3号ポット2株セット
斑が入ることで、日陰を明るくしてくれますね。シェードガーデンの花壇前面や、日陰になる玄関アプローチ脇などを埋めたいなら、ぜひグレコマをお試しください。
|
日陰でも育つ花(11)ラミウム
ラミウムは葉色が美しく、カラーリーフとして活躍してくれるグランドカバーです。
ラミウムの花期は5月から6月ごろ。花茎を上げ、濃いピンクや淡いピンクなどの花を咲かせます。
ラミウムはとにかく丈夫!半日陰スペースでも元気に育ち、冬の間も旺盛に生長します。
植え付けるときのポイントは、「これではさみしいかな?」と思うぐらい株間を空けること。ある程度離しておかなければ、想像以上のスピードで伸び、植え替えが必要になるぐらいです。
日陰に植えるなら、明るい葉色のものを選びましょう。銀白色の葉やクリーム色の斑入りなど、個性的な葉をもつラミウムがおすすめです。
日向でも育ちますが、半日陰で育てがほうが斑が美しく出ます。木陰など、柔らかな日差しが入り込む日陰で育ててあげましょう。
日陰でも育つ花(12)オダマキ
オダマキはあでやかで個性的、そして神秘的な美しさをもつ花です。さまざまな品種を植えたくなる魅力があります。
オダマキが咲くのは、春から夏へと移り変わる頃。5月から6月ごろにかけて花を咲かせます。
オダマキには、日本原産の山野草とヨーロッパ原産の西洋オダマキの2種類があります。
シックな和庭には、ミヤマオダマキがよく似合います。ただし山野草としてのお手入れが必要なこともあり、ガーデニングでは西洋オダマキが主流です。
西洋オダマキの魅力は、何と言ってもカラフルな花色です。たとえば白やピンク、赤、黄色などは、日陰の庭を明るくしてくれます。イングリッシュガーデンにもぴったりですね。
青や紫色などシックな花色は、来たるべき初夏を想わせる涼やかな風景をつくってくれます。
どの品種も花姿が造形的で、大輪咲きや八重咲きの品種もあります。とはいえ、決して主張しすぎることはありません。堂々たる存在感ながら、あくまで控えめ。品の良い花です。
西洋オダマキは、午前中は日なた、午後は明るい日陰になる場所を好みます。オダマキが美しく咲く環境を用意してあげましょう。
年数が経つほどに大株になりますが、3~4年で寿命を迎えます。こぼれ種でよく増えるので、小さな苗を見つけたら大事に育てたいものですね。
ある程度背丈を抑えたいなら、「オリガミシリーズ」がおすすめです。
宿根草 アクイレギア(西洋オダマキ) オリガミ ブルー&ホワイト1株
オリガミシリーズは、 折り紙細工のような花姿が印象的な西洋オダマキです。
爽やかな「ブルー&ホワイト」の他、愛らしい「ピンク&ホワイト」、鮮やかな「レッド&イエロー」もあり、日陰の庭を明るく飾ることができます。
いわゆる“わい性種”のため、大きくなりすぎずコンパクトにまとまります。春一番などの強い風が吹いても影響を受けにくいので安心ですね。
オダマキの品種については、別記事にて詳しく紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。
https://forties-text.com/aquilegia-type/
日陰でも咲く花【夏編】
夏に日陰でも咲く花といえば、やはり定番は色鮮やかなインパチェンス。釣鐘型の花を咲かせるホタルブクロも、夏に日陰で咲く花の代表的な存在です。
夏はギボウシをはじめとした葉物が美しい季節ですが、花で変化をつければさらに美しい庭になります。好みの花を見つけて、ぜひ夏のシェードガーデンを飾ってくださいね。
日陰でも育つ花(13)インパチェンス
インパチェンスは、夏のガーデニングに欠かせない主役の一つです。北向きの玄関や、建物で日陰になる花壇など、半日陰でもよく育ち、鮮やかな花を咲かせます。
インパチェンスの魅力は、何と言っても明るい花色です。
たとえば、赤や白、ピンク、オレンジなど、どの花色も夏らしい鮮やかさ。「赤×白」「ピンク×白」など、バイカラーの品種もあります。
花は一重から半八重、八重咲きまであります。
インパチェンスは、株のボリューム感も魅力の一つ。こんもりと育った株に花が咲くと、夏ならではのにぎやかな光景が生まれます。
なおインパチェンスは、アフリカ原産の「アフリカホウセンカ」の園芸品種です。初心者でも育てやすく、日陰でも育つ花として、ぜひ夏のガーデニングに取り入れたい花の一つです。
日陰でも育つ花(14)ヤブラン(リリオペ)
ヤブランは、日本各地の林にも自生する植物です。「リリオペ」という名前で呼ばれることもあります。
真冬でもすらりとした葉を茂らせて、日陰のグランドカバーとして活躍してくれます。
ヤブランの花期は8月から10月ごろ。真夏から秋にかけて薄紫色の清楚な花を咲かせ、涼やかな光景を作り出してくれます。
日向のほうが花つきは良いものの、葉焼けしてしまいます。半日陰で育てると、葉と花の両方をバランス良く愉しむことができます。
ヤブランの控えめな葉姿は、和風の庭にも洋風の庭にもなじみます。日陰を明るくするなら、斑入りの品種を選ぶのがおすすめです。
落葉樹の株元などに群生させると、開花時は見事な光景です。すらりとした葉姿が似合う場所に、ぜひヤブランを植えてみてくださいね。
日陰でも育つ花(15)ホタルブクロ(ツリガネソウ)
ホタルブクロは5月から7月にかけて、釣鐘型の花をたくさん咲かせる花です。
花の色は、濃い紫色の他、白やピンク、薄紅色などがあります。
ホタルブクロの魅力は、その自然体の美しさ。しおらしくうつむき加減で咲く花には、和の情緒が感じられます。
ホタルブクロは、日向から明るい日陰が向く植物です。地下茎を伸ばして増えるので、環境が合えば手間いらずでどんどん増えていきます。
なお草丈を抑えたい場合は、切り戻しておきましょう。タイミングは、春に新芽が出て大きくなり始めた頃。まわりとの調和をイメージして、調整してくださいね。
日陰でも育つ花(16)ヒューケラ(ツボサンゴ)
ヒューケラは、鮮やかでカラフルな葉色が人気のカラーリーフです。主に葉を愉しむ目的で植えられますが、5月~7月ごろには花茎を伸ばし、可愛い花も咲かせます。
すっと立ち上がった花茎から、釣鐘型の小花が群れるように咲くと、とても見事。たくさんの小花が連なって咲くと、日陰の庭をにぎやかにしてくれます。
ヒューケラは、とにかく葉色のバリエーションが豊か!赤や白、ピンクの他、銀色やライムグリーンやキャラメル色なども。
特に「ドルチェシリーズ」は、見ているだけで愉しくなるヒューケラが揃っています。
【大株・選べる6種】ヒューケラ(ツボサンゴ)ドルチェシリーズ 5号苗
「ドルチェシリーズ」はその名の通り、ドルチェをイメージして作られたヒューケラの園芸品種です。
アップルシブーストやバタークリーム、マッチャプディングなど、女性好みの名前が並び、葉色の美しさに見とれてしまいます。
色のコントラストをつけながら組み合わせて植えると、個性的な“ヒューケラガーデン”の完成です。
ヒューケラは寒さに強く、美しい色合いを保ったまま冬を越します。日陰にも耐える強さがあり、ガーデニングでは、シェードガーデンの定番中の定番です。
品種によっては、冬の間はやや紅葉して、また違った顔を見せてくれます。そして桜の花咲く頃には本来の色へと変化して、また鮮やかなコントラストで日陰を明るくしてくれます。
日陰でも育つ花(17)ヒューケレラ
ヒューケレラは、ヒューケラとティアレラの交雑種です。
まさに両者の“いいとこどり”。ヒューケラの葉の鮮やかさと、 ティアレラの花つきの良さを兼ね備えており、シェードガーデンを明るくしてくれます。
ヒューケレラの中で特に人気があるのが、「ブリジェット・ブルーム」という園芸品種です。
葉には茶褐色の斑が入りシックな装いですが、花が咲くと雰囲気が一変します。初夏になるとピンクの小花がたくさん咲き、空気までピンクに染め上げるかのようです。
日陰でも咲く花【秋編】
秋は日陰で咲く花が減る季節です。とはいえ、秋ならではの風情を漂わせるシュウメイギクもありますし、何より紅葉が美しい季節です。
しっとりとした風情を感じられる庭があれば、秋のひとときがますます幸せになりますね。
日陰でも育つ花(18)シュウメイギク(秋明菊)
シュウメイギクは、和の風情を感じさせる優雅さが魅力の花です。坪庭や灯篭の横など、とりわけ和庭がよく似合う花です。
シュウメイギクの花期は、8月中旬~11月ごろ。花が少なくなる秋に花を咲かせ、秋の風景を美しく飾ってくれます。
シュウメイギクは楚々とした姿ながら、花茎が伸びてたっぷりと花を咲かせます。花色には白だけではなく、ピンクもあります。
花姿には一重咲きや八重咲きがあります。好みのものを選んで植えましょう。
その野に咲いているかのような自然体の姿は、茶花としても好まれています。日陰でたっぷり咲いたら、切り花にして愉しむこともできます。
なおシュウメイギクには、草丈がコンパクトにまとまる“わい性種”があります。低めのものを植えたいなら、「祭りシリーズ」がおすすめです。
祭りシリーズはその名の通り、日本各地の祭りの名をつけたシュウメイギクの園芸品種です。
たとえば、淡いピンクで大輪八重咲の「祇園祭」や桃橙色の「ねぶた祭」などがあります。ぜひ、好みの花色や花姿のシュウメイギクを探してみてくださいね。
日陰でも育つ花(19)シュウカイドウ(秋海棠)
シュウカイドウは、いわば“和風のベゴニア”です。8月から10月ごろにかけて花を咲かせます。
よく知っているベゴニアとはまた違って、下向きに咲く姿に風情がありますね。花色はピンクが主流ですが、白花を咲かせる品種もあります。
シュウカイドウは日陰に強く、湿り気のある場所を好みます。和風庭園や寺院などで、群生しているのをよく見かけますね。
シュウカイドウは、ハート型のような葉の可愛さも魅力です。
花が咲き終わると葉の付け根にむかごをつけ、こぼれ落ちてまた発芽します。
繊細な花姿ですが、とても丈夫です。寒さにも強く、冬になるといったん地上部は消えますが、きちんと冬を越して芽吹きます。
落葉樹の株元などに植えておけば、また夏の終わりごろから秋にかけて、可憐な花を愉しませてくれます。日陰になる小径沿いに植えても、可愛い花を咲かせる秋が愉しみになりますね。
日陰でも咲く花【冬編】
冬に日陰で咲く花といえば、やはり外せないのがクリスマスローズ。気高い花姿と出会えると思うと、冬の訪れも楽しみになるはずです。
冬に日陰で咲く花には派手さはありませんが、冬の景色になじむ洗練された美しさがあります。ぜひシェードガーデンにお気に入りの花を植えておきたいものです。
日陰でも育つ花(20)クリスマスローズ
クリスマスローズは、気品ある美しさから「冬の貴婦人」とも呼ばれる花です。
花が咲くのは、1月から3月ごろの真冬。うつむき加減に咲く花が多くの人を魅了し、冬のガーデニングには欠かせない花の一つです。
クリスマスローズの原産地であるヨーロッパでは、その名の通りクリスマスの時期に白花を咲かせる「ヘレボルス・ニゲル」のみをクリスマスローズと呼びます。
ただし日本で広く出回っているのは、オリエンタリス系の交配種です。
オリエンタリス系はニゲルよりも大株になり、たくさんの花を咲かせます。色幅も広く、赤紫や紫、白やクリーム色、緑などさまざまです。縁取りのあるピコティもあります。
クリスマスローズは園芸品種が多く、咲き姿も多様です。
一重咲きには、シンプルな美しさがあります。八重咲き(ダブル)には華やかさがあり、半八重咲き(セミダブル)には可憐さが感じられます。
知れば知るほど多くのクリスマスローズと出会う奥深さが、クリスマスローズの一番の魅力と言えますね。
しかもクリスマスローズは、とても丈夫。落葉樹の株元などの日陰でも育ち、鉢植えでも地植えでも、どちらでも元気に育ちます。
繊細な花姿は、洋風はもちろん和風の庭にもよく合います。端正な草姿なので、さりげない美しさをもつ植物としっくり馴染みます。
なおクリスマスローズは、発芽してから花をつけるまで約2年かかります。植えた年から花を愉しみたいなら、開花株や大きめの葉をつけた苗を選ぶのがポイントです。
クリスマスローズ「氷の薔薇」ホワイト 5号鉢 開花株 鉢花 花苗 花 冬の貴婦人 冬の花
日陰でも育つ花(21)ビオラ・ラブラドリカ
ビオラ・ラブラドリカは、黒紫がかったシックな葉色が美しいスミレです。薄紫色の花とのコントラストも美しく、根強いファンを持つ花です。
ビオラ・ラブラドリカには、大人の余裕を感じさせる優雅さがあります。花期はかなり長く、11月から5月ごろまで繰り返し咲き続けます。
葉色が美しいので、年中カラーリーフとして愉しむこともできます。夏は鮮やかな緑、そして冬を迎えて寒さに当たると色が深くなり、黒い葉へと表情を変えます。
凍えるように寒い日、朝露で濡れたビオラ・ラブラドリカを見るのは、幸せなひととき。黒みがかった葉には、堂々たる存在感と凛とした美しさがあり、思わず寒さを忘れてしまうほどです。
なお日陰で育つと言っても、極端な日照不足は苦手です。花つきが悪くなり、茎がひょろひょろと徒長してしまいます。
できれば「明るい日陰」や「日陰の花壇前面」など、ある程度の光を受けられる環境を用意してあげてくださいね。環境さえ合えば、こぼれ種でどんどん増えていきます。
日陰でも育つ花(22)ニオイスミレ
ニオイスミレは、細い花茎を伸ばしてひっそりと咲く、健気な花姿が印象的な冬の花です。花が咲くのは12月から3月ごろ。その名の通り、あたりを優しい香りで満たしてくれます。
ニオイスミレは、葉の愛らしさも魅力です。濃い緑色の葉は常緑で、まるでハートを想わせる形。品の良い色といい可愛い形といい、可憐な花姿とよく合います。
花色は、濃い紫や淡い紫など、スミレと聞いて連想する紫色が主流です。ただしニオイスミレの園芸品種の中には、桃色や白色などもあります。
ちなみにニオイスミレは別名で「スイートバイオレット」とも呼ばれます。冬の花壇に甘やかな香りが漂うと、春の訪れが愉しみになりますね。
日陰でも育つ花(23)スノードロップ
スノードロップは、可憐な草姿に白い下向きの花を一輪咲かせる花です。冬本番の2月~3月に開花し、春を告げる花として人気があります。
スノードロップはその名の通り、“雪解けの雫”のような花。清らかな美しさがあり、凛とした存在感があります。
スノードロップは寒さに強く、雪が降る中でも懸命に花を咲かせます。雪の冷たさをものともせず咲くさまは、残りわずかな冬を乗り越えようという気力を授けてくれます。
スノードロップが好む環境は、夏は日陰になり、晩秋から早春はある程度の光が当たる場所です。落葉樹の下など、過ごしやすい環境を用意してあげましょう。
スノードロップは、ヒガンバナ科の球根植物です。秋に球根を植えておけば冬に芽吹きます。冬以降なら、苗を植えるという手もあります。
日陰でも育つ花(24)水仙
水仙は、春を告げる花として愛されてきた早春の花です。品種にもよりますが、11月から4月ごろにかけて、白や黄色の花を咲かせます。
長い茎の先に、ややうつむいたように咲く姿には、はかなげな美しさがあります。草丈が揃うので、群生させると華やかな光景になりますね。
水仙は、基本的には日光を好む植物です。花が咲くまでは、光が当たる場所で育てるのが理想です。
ただし開花すると、西日や強い光が当たることで弱ることも。そのため、やさしい木漏れ日が降り注ぐ場所や、枝が粗く明るい落葉樹の株元などが適しています。
水仙は、植えっぱなしで毎年咲いてくれる丈夫な球根植物です。シェードガーデンで春を感じるなら、水仙を群生させておくと愉しみが増えますね。
ちなみに黄色い水仙で人気を集めるのが、「テータテート」と呼ばれる園芸品種です。
テータテートは、いわば小型のミニ水仙です。草丈は10~15cmほど。レモンのような鮮やかな黄色の花を咲かせます。
ちなみに花名の“Tete a tete”とは、フランス語で「内緒話」「打ち明け話」を意味します。
水仙どうしがひそひそと小声で話をしている……そんな光景を思い浮かべると、思わず幸せになりますね。
まとめ
スノードロップが咲けば、冬も残りわずか。シェードガーデンでは間もなくクリスマスローズが咲き、アジュガが花をのぞかせ、一気に春へと向かいます。
春夏秋冬、四季折々に日陰で咲く花を植えておけば、季節ごとに違う風景が愉しめます。ぜひ今回紹介した日陰でも咲く花の中からお気に入りを探して、シェードガーデンに植えてみてくださいね。