紫陽花は、色ごとに異なる花言葉を持っています。たとえば紫は「神秘的・知的」、青は「辛抱強い愛情」など。色彩がもつ印象からついた花言葉もあれば、哀しくも美しい物語に由来するものもあるんです。
色とりどりに咲く紫陽花の花言葉を集めました。部屋に飾るとき、誰かに贈るとき。ヒントにしていただければ幸いです。
紫陽花の花言葉(1)紫色
あじさいの定番カラーといえば紫色。エレガントで深い落ち着きを感じさせる色ですよね。
そんな紫色のアジサイの花言葉は「神秘的」「知的」。きっと紫色がもつ特別感からきているのでしょう。
日本では古来、紫は高貴な色として尊ばれてきました。聖徳太子が制定した「冠位十二階」で最高位とされたのは紫色。平安時代においても、位の高い貴族しか身にまとえない貴重な色でした。
そして紫は、“情熱の赤”と“冷静の青”という、真逆の要素を併せ持つ色。「本当の姿はどっち?」と思わせる、どこか謎めいた雰囲気を漂わせる色でもあります。
高貴で上品、そしてどこかミステリアス……そんな紫色のアジサイに、「神秘的」「知的」といった花言葉があるのも納得ですね。
部屋に紫色のアジサイを飾ったら、品の良い静けさが満ち、シックな空間になりそう。“クールビューティ―”な友人へのプレゼントにも良さそうです。
紫陽花の花言葉(2)青
紫と同じく、よく見かけるのが青色の紫陽花。涼やかな色合いが、どんよりした梅雨空で清々しく輝きます。
そんな青色の紫陽花には「辛抱強い愛情」という花言葉があります。なぜそんな花言葉があるかというと……
江戸時代、オランダから長崎県の出島を訪れたドイツ人医師・シーボルト。彼は美人と評判だったお滝さんを見初めて恋に落ち、結婚します。
ところが、幸せは長く続きませんでした。「禁制の日本地図を国外に持ち出そうとした!」とスパイ疑惑をかけられ、単身での帰国を余儀なくされるのです。
シーボルトは医師でもあり、植物学者でもありました。日本で知り、こよなく愛したのが紫陽花。そこで紫陽花に、お滝さんの愛称「オタクサ」という学名をつけたのです。
「辛抱強い愛」という花言葉は、そんな二人のエピソードに由来します。ひたむきな愛情、離れても想い合う二人の絆。そんな物語を感じながら見ると、ますます青の美しさが映えそうですね。
(参考)長崎市WEBサイト『ナガジン』「植物学者シーボルトと長崎の花」
その一方で青には、「冷淡」「無情」「高慢」といった花言葉もあります。
青には確かに、青空のように明るく清澄なイメージがある一方で、とてもクール。深海のように拒絶するかのような冷たさのイメージもあります。
そう思うと「落ち着きすぎていて冷たそう」「よそよそしい」「高嶺の花」といった意味を持つ花言葉があるのもイメージがわきますね。
紫陽花の花言葉(3)白
白色の紫陽花、花言葉は「寛容」「一途な愛情」です。白から受ける印象そのものですよね。
白といえば、何にも染まっていないピュアな色。そして何色にも染まることのできる色。その純真さやひたむきさは、「寛容」「一途な愛情」という花言葉とぴったり合います。
ちなみに6月の誕生花といえばユリが有名ですが、紫陽花もその仲間。特に6月3日の誕生花はアジサイなんだとか。
「寛容」「一途な愛情」などの言葉が似合う、お母さまやお友だちへのプレゼントに。白い紫陽花はよく似合いそうです。
紫陽花の花言葉(4)ピンク・赤
愛らしいピンク色や赤色のアジサイ、花言葉は「元気な女性」「強い愛情」です。
これまでの花言葉から雰囲気が一変、がらりと変わります。ピンク色のイメージにぴったりの言葉ですよね。
よく知られているように、紫陽花の色は土壌によって変わります。
日本は雨が多いため、二酸化炭素が溶け込みます。そのため弱酸性の土壌がほとんどなので、青や紫の紫陽花がよく咲きます。
一方、フランス。石灰岩に覆われていることからアルカリ性の土壌が多く、赤みの強いピンク色の紫陽花がよく咲くのです。
「元気な女性」「強い愛情」という花言葉を持つピンクや赤の紫陽花。母の日のプレゼントにも喜ばれそうです。
紫陽花全般の花言葉
ここまで見てきたように、紫陽花の花言葉は色ごとに変わります。「神秘」「辛抱強い愛情」といった良いイメージの花言葉もあれば、「冷淡」「高慢」といった冷たさを感じる言葉もありました。
そして実は花の色が変わっていくことから、紫陽花には「移り気」という花言葉も。「贈り物にしていいの?」とためらってしまいますよね。
でも実は紫陽花には、色を問わない共通の花言葉もあるんです。それは……
そうなんです。実は紫陽花には、「家族」「団らん」「和気あいあい」といった花言葉もあるのです。
言葉から感じるのは温かさ。笑顔が思い浮かんだり、楽しいおしゃべりの声が聞こえてきそうだったり。見ているだけで明るい気分になる花言葉ですよね。
その由来は、小さな花(正確にはガク)がひしめき合って咲く姿から。
元はといえば紫陽花という名前は、“藍が集まって咲く”という意味の「集真藍」(あづさあい)が転じたもの。だから、まさに「団らん」「和気あいあい」なんです。
この花言葉には思い出があります。まだ息子たちが小さかったときのこと。家族で京都の料亭を訪れると大きな花瓶があり、溢れんばかりに紫陽花が活けられてました。
見とれている私に、お店の方がそっと教えてくださったんです。「紫陽花には家族団らんという意味があるんですよ」と。
息子たちは幼く、自分の時間なんて持てないほど忙しい毎日。いつでもヘトヘトでした。でもその言葉のおかげで、幸せな気持ちが膨らむのを感じたのです。「家族で休日を過ごせてうれしい」と。
夫ともゆっくり話し、息子たちが笑っているのもうれしく可愛く、穏やかなひとときを過ごせたのは言うまでもありません。
「場の空気に合わせて、さりげなく花言葉を伝えられるのって素敵だな」「花言葉は人を幸せにしてくれる」と思った瞬間でした。あの日からずっと、かけがえのない思い出として大切にしています。
紫陽花の花言葉を一覧で紹介
ここまでの内容を一覧にしてみました。
・ 青・・・・・・・・・・・・辛抱強い愛情・冷淡・無情・高慢
・ 白・・・・・・・・・・・・寛容・一途な愛情
・ ピンクや赤・・・・元気な女性・強い愛情
・ 全般・・・・・・・・・・家族・団らん・和気あいあい
同じ紫陽花なのに、色ごとに印象が違いますよね。違う見方をすれば、それだけ多様な魅力をもった花だということ。
紫陽花を贈りたい相手やシチュエーションに合わせて紫陽花の色を選べば、紫陽花をきっかけに会話も弾みそうですね。
まとめ
さまざまな花言葉をもつ紫陽花。こうして一つ一つ見てゆくと、違った魅力が見えてきませんか?
気分に寄り添う色のアジサイを部屋に飾ったり、贈る相手に似合う色を選んだり。誕生日や母の日のプレゼントにするなら、選んだ花言葉をメッセージカードに添えて、上手に気持ちを伝えたいですね。