高貴な大輪の花を咲かせ、圧倒的な存在感を誇る牡丹(ボタン)と芍薬(シャクヤク)。幾重にも柔らかく重なる花びらや、ふくよかな咲き姿などが、とてもよく似ています。
どちらもボタン科ボタン属。花だけを見ると見分けがつきませんが、実は明確な違いがあります。牡丹と芍薬の違いを7つ紹介します。
牡丹と芍薬の違い(1)葉の形
牡丹と芍薬の違いで、もっとも分かりやすいのが「葉の形」です。
- 牡丹・・・・・・・ギザギザの切れ込みが入る。
- 芍薬・・・・・・・切れ込みはなく、やや丸みを帯びている。
牡丹の場合、葉に切れ込みが入り、ギザギザした形になっています。
一方、芍薬の葉はこちら。比べてみると、牡丹とは葉の形が違うのが一目瞭然ですよね。
花が咲いていない時期なら、まずは葉を確認しましょう。「切れ込みがある?それともない?」というのが、もっとも簡単な牡丹と芍薬の見分け方です。
牡丹と芍薬の違い(2)つぼみの形
つぼみができているなら、「つぼみの形」も牡丹と芍薬を見分けるヒントになります。
- 牡丹・・・・・・・やや先端がとがっている。
- 芍薬・・・・・・・丸くきれいな球形。
たとえば、こちらが牡丹のつぼみです。先が少しだけとがっているのが分かりますよね。
そして、こちらが芍薬のつぼみです。
つぼみが閉じているときは、手前のような丸くころんとした形。少しずつほどけながら、開花へと向かいます。
牡丹と芍薬の違い(3)開花時期
牡丹と芍薬の違いには、「開花時期」もあります。
咲くのは、牡丹が先。後を追うようにして、芍薬が咲きます。
- 牡丹・・・・・・・4月下旬~5月中旬(晩春)
- 芍薬・・・・・・・5月~6月(初夏)
牡丹は晩春、そして芍薬は初夏。大まかに覚えておくと、分かりやすいですね。
なお牡丹には、冬に咲く寒牡丹や冬牡丹もあります。
牡丹は春だけではなく、冬の雪も似合う花。葉の形にも潔さがあり、和の情緒が漂う花ですね。
牡丹と芍薬の違い(4)香り
牡丹と芍薬の違いを知るには、「香り」もヒントになります。
牡丹と芍薬の見分け方で迷ったら、花の香りを確かめてみてください。牡丹には基本的に香りはありませんが、芍薬はいい香りが漂います。
- 牡丹・・・・・・・基本的に香りはない。
- 芍薬・・・・・・・バラに似た爽やかな香りがある。
グリーンフローラル系の優雅な香りは、部屋を甘く爽やかな香りで満たしてくれます。芍薬のシーズンには、ぜひ切り花を飾りたいものですね。
牡丹と芍薬の違い(5)花の散り方
牡丹と芍薬の違いには、「花の散り方」もあります。
牡丹と芍薬、それぞれ次のように散ります。
- 牡丹・・・・・・・一気に、そして豪快に散る。
- 芍薬・・・・・・・最後までしがみつきながら、少しずつ散る。
牡丹も芍薬も花びらが多いので、散った後はあたりが花びらでいっぱいになります。
その様子はまるで、ピンクや白の絨毯のよう。散った後も美しい花ですね。
牡丹と芍薬の違い(6)枝分かれの有無
牡丹は木本性(樹木)、芍薬は草本性(草)です。そのため「枝分かれの有無」も、牡丹と芍薬の違いです。
- 牡丹・・・・・・・幹があり、枝分かれして花を咲かせる。
- 芍薬・・・・・・・まっすぐに茎を伸び、伸びた茎の先に花を咲かせる。
繰り返しになりますが、牡丹は樹木、芍薬は草です。
そのため牡丹には茶色い幹があり、枝がどんどん伸び、その先に花が咲きます。
芍薬は草なので、枝分かれしません。春に芽吹いた後は、天に向けてまっすぐ茎を伸ばします。
そしてすらりと伸ばした茎の先に、見事な花を咲かせるのです。
牡丹と芍薬の違い(7)冬の越し方
牡丹と芍薬の違い、最後は「冬の越し方」です。
冬にどんな状態になるかで、牡丹と芍薬を見分けることができるのです。
- 牡丹・・・・・・・木のまま冬を越し、枝から新芽を出す。
- 芍薬・・・・・・・冬には根を残して枯れ、春にまた新芽を出す。
牡丹は木ですから、冬になっても幹が残ります。でも芍薬は草ですから、いったん地上部は姿を消してしまうのですね。
まとめ
「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」と並んで称されるように、牡丹と芍薬はよく似ています。でも今回紹介したように、牡丹と芍薬には7つの違いがあります。
牡丹には厳かな和の情緒があり、芍薬には洋テイストが似合う気品があります。違いを知った上で鑑賞すると、さらに美しさが増す気がしますね。