ガーデニングを始めると、ちらほら見かける“宿根草”という言葉。「宿根草とは?」「一体なんて読むの?」などと、気になる方も多いのでは?
宿根草の読み方は「しゅっこんそう」もしくは「しゅくこんそう」。一度植えると毎年咲き、年々大株に育つのも魅力です。宿根草と多年草の違いなど、宿根草にまつわる7つの素朴な疑問を、Q&A形式でまとめました。
宿根草の読み方は?
まずは基本的な「宿根草」の読み方について。宿根草は「しゅっこんそう」と読みます。
初めて見たとき、お恥ずかしいことに「しゅくねそう?」と思ってしまいました。
園芸店に行くと、たとえばラベルに「宿根イベリス」などと書かれていますよね。意味は“イベリスの宿根草タイプ”。読み方は「しゅっこんイベリス」もしくは「しゅくこんイベリス」です。
宿根草とは?宿根草の意味は?
宿根草は「多年草」の一種です。多年草の中で、育つことがむずかしい時期になると“いったん地上部が枯れる”ものを、宿根草と呼び分けています。
たとえば、春の終わりに可憐な花を咲かせるスズランは、夏から冬にかけては枯れた状態で過ごします。
でも、あくまで地上部が枯れているだけ。土の中で、ちゃんと根は生き残っています。その名の通り“根を宿(やど)している”のですね。
宿根草は、育つのに適した温度になると、再び芽吹きます。そしてぐんぐん成長し、花を咲かせてくれます。
宿根草と多年草との違いは?
宿根草も「毎年花を咲かせる」という意味では多年草の仲間です。
では、多年草と宿根草の違いは何かというと、答えはシンプル。
- 宿根草・・・・・生育期が終わると、いったん地上部が枯れる。
- 多年草・・・・・年中枯れず、同じ姿を保つ。
そう、「枯れる」か「枯れない」かが、多年草と宿根草の違いなんです。
夏や冬は、植物にとって厳しい環境です。宿根草は地上部を枯らし、ある意味では“体力”を温存するのですね。
宿根草の魅力は?
宿根草の魅力はさまざまです。主な魅力を3つ紹介します。
(1)毎年咲くので手間いらず!
宿根草の魅力は何といっても、一度植えると毎年咲いてくれること。植え替え不要で手間いらずというのは、宿根草の最大の魅力です。
カラフルな一年草も美しいのですが、常に美しい庭を保とうと思うと結構大変。
春には春の一年草を植え、夏を迎える頃には植え替えて……というサイクルを続けていると、「季節に追いかけられているみたい……」と感じることもあります。
花をお世話するのは、幸せなひととき。でも庭を愛でる時間も、たっぷりととりたいですよね。だからこそ、毎年咲く宿根草はぜひとも取り入れたい植物です。
(2)季節のナチュラルな表情が生まれる
季節の訪れと共に花を咲かせてくれるのも、宿根草のいいところ。庭に宿根草があると季節の移ろいを感じることができます。
たとえば寒さが緩み春を迎える頃、スノードロップが可憐な花を咲かせます。そして春には西洋オダマキが控えめに優美に咲き揃います。
宿根草は、花自身がもつ自然なリズムで咲いてくれます。だから表情がとてもナチュラルなのです。
毎年けなげに咲く宿根草が告げてくれる、季節の訪れ。ゆったりとした気持ちで愉しみたいものですね。
(3)年々広がったり大株に育ったり、立派になる!
宿根草は少しずつ大きくなり、年々広がったり大株になったりするのも魅力です。
たとえば、庭にたった2~3株植えただけのスズランも、数年経てばずいぶん広がります。芍薬(シャクヤク)も年々根を広げ、どんどん大株に育ちます。
時間と共に庭も育つ。そんな感覚が持てるのは、毎年花と出会える宿根草ならではですね。
宿根草メインの花壇は、冬さみしいのでは?
宿根草の多くは冬になると落葉し、枯れてしまいます。「どこに何が植わっているのか、まったく分からない」という状態です。
すると花壇から緑が消え、寒々しい雰囲気に……。冬になってすっぽり大きなスぺ―スが空かないようにするには“冬に咲く花”を一緒に植えることです。
日当たりのいい場所なら、別記事でも紹介している、パンジーやビオラ、ガーデンシクラメンなど。
花色もくっきりしているので、地上部が枯れて寂しくなった花壇を鮮やかに染めてくれます。
十分な日が当たらない半日陰なら、クリスマスローズがおすすめです。
“冬の貴婦人”との別名をもつクリスマスローズは、冬の寒空の下で気品ある花を咲かせてくれます。
冬にこそ元気に咲く花を上手に組み合わせて、花壇の季節感を演出したいものですね。
宿根草は植えっぱなしでいいの?
宿根草は手間がかからず、ローメンテナンスの庭に欠かせません。とはいえ、本当の“植えっぱなし”にしておいていいわけではありません。
宿根草を美しく育てるためには、3つのポイントがあります。
(1)花が咲き終わったら“花がら摘み”を!
花が咲き終わったら、“花がら摘み”をしてあげましょう。花がら摘みとは、開花後も枯れて残った花びらなどを摘み取ることです。
花がらを摘まずに放置すると、種ができ、種を作るために体力を消耗します。花がらを摘んで、どんどん花が咲きやすいようにしてあげてくださいね。
また花が全部咲き終わったら、「美しい花を咲かせてくれてありがとう」という気持ちを込めて、“お礼肥”(お礼の肥料)をあげてくださいね。
きっと翌年も、シーズンを迎えるときれいな花を咲かせてくれるはずです。
(2)2~3年に一度は、植え替えや株分けを!
宿根を植えたままにすると、大きくなりすぎて“手付かずの庭”といった荒れた状態になってしまいます。2~3年に一度は植えたり株分けしたりして、整理してあげましょう。
株分けとはその名の通り、大きくなった株を分けること。植物を若返らせることができ、他の場所にも植えることができるので、一石二鳥です。
一つは同じ場所に戻し、もう一つは違う場所に。喜んでくれる方がいるなら、同じく花が好きな方にプレゼントするという方法もあります。
ちなみに、宿根草の株分けに適した時期は「冬」です。休眠している間に株分けして、翌年に備えさせてあげてくださいね。
(3)寿命の短い宿根草は、早めに“増やす”対策を!
宿根草は何年にもわたって花を咲かせる植物です。
ただし、別記事「優美であでやか、西洋オダマキ22種類!人気シリーズや品種を紹介」でもと取り上げている西洋オダマキのように、3~4年で寿命を迎える宿根草もあります。
せっかく育てた大事な花です。「花後にできた種をとっておいて植える」「株分けする」など、早めに“新しい株”を作ってあげてくださいね。
枯れている間のお手入れは?水やりは必要?
地上部が消えている間、毎日水やりをする必要はありません。でも土が乾いていたら、水やりはしてあげましょう。
他の花の水やりをするときに、土が乾いていないか、チェックしてあげてくださいね。
宿根草は冬になると地上部が消え、存在感がなくなります。一体どこに植えてあったのか、芽吹くまで分からない……なんてことも。
とはいえ、土の中に根は残って、春に芽を出すための準備を進めています。春に向けての準備ができるよう、必要な水を届けてあげましょう。
まとめ
毎年花を咲かせてくれる宿根草は、手間いらずのありがたい存在です。花がら摘みや2~3年に一度の株分けをすれば、どんどん成長してくれます。
なお、一年草と多年草をうまく生かした庭づくりのコツは、別記事で紹介しています。ぜひ併せてご覧くださいね。