梅雨の言葉19種類!風流な日本語で、梅雨の印象が変わる

梅雨というと、灰色の空やどんよりした雲……そんな憂鬱なイメージを持つ方も多いことでしょう。でも、言葉一つで印象は変わります。五月雨や麦雨と言い換えると、風流な雰囲気が漂いませんか?

日本語には、梅雨の印象を変えてくれる、美しい梅雨の言葉がたくさん存在します。梅雨の別名や雨の降り方を表す言葉など、梅雨にまつわる言葉を19種類紹介します。

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梅雨を言い換える言葉

梅雨には、他の言い方もあります。代表的な言葉が「五月雨」です。五月という言葉の響きが加わると、印象が清々しくなりますよね。

「五月雨」や「黄梅の雨」、「麦雨」など、梅雨を言い換える言葉を3つ紹介します。

梅雨の言葉(1)五月雨(さみだれ)

五月雨(さみだれ)とは、陰暦5月ごろに降る長雨のこと。「さ」は五月(さつき)、「みだれ」は水垂(みだれ)を指しています。

五月雨といえば、松尾芭蕉の俳句「五月雨を あつめて早し 最上川」が有名ですね。

現代語に訳すなら、「ここのところ降り続いた五月雨(梅雨の雨)を集めたかのように、何とまあ最上川の流れの速く、すさまじいことよ」といったところ。

これが「梅雨の雨を あつめて早し~」では、どうも雰囲気が出ません。五月雨とすることで、爽やかな躍動感が溢れる一句になっていますよね。

梅雨の言葉(2)黄梅の雨(こうばいのあめ)

黄梅の雨とは、梅の実が黄色く熟するころに降る雨のこと。つまり梅雨を意味しています。

雨のおかげで梅が熟すと思うと、しとしと降る雨が恵みの雨に感じられます。

日本に住んでいれば、梅雨時期のぐずついた気候を避けて通れません。ときに億劫に感じることがあるのも事実。

でも雨は、植物が育つために欠かせない存在。梅雨ではなく、黄梅の雨。そう捉えると、長雨の中、着実に季節が移ろうのを感じられます。

梅雨の言葉(3)麦雨(ばくう)

麦雨とは、麦が熟するころ降る雨のこと。同じく、梅雨の別名です。

また、麦が熟し、穂が黄金色に輝く収穫の季節を「麦秋」(ばくしゅう・むぎあき)と呼びます。

地域にもよりますが、麦秋はおおむね5月下旬から6月中旬の、いわゆる初夏。そのため「麦秋」は、俳句の世界では夏の季語として扱われます。

梅雨の移り変わり

一言で梅雨といっても、始まりがあり、そして終わりがあります。

梅雨の前触れである「走り梅雨」から、梅雨が明けた後にまた雨が続く「戻り梅雨」まで、5つの梅雨の言葉を紹介します。

梅雨の言葉(4)走り梅雨(はしりづゆ)

走り梅雨とは、梅雨に先立って、数日の間天気がぐずつくことを言います。天気予報で「あす真夏並み 週後半から走り梅雨」といった内容を見かけますよね。

走り梅雨は、まさに梅雨の前触れ。数日雨が降り続き、またやみます。

走り梅雨は、「迎え梅雨」「梅雨の走り」などの別名で呼ばれることもあります。走り梅雨がきたら、もう梅雨も目前ですね。

梅雨の言葉(5)入梅(にゅうばい)

入梅とはその名の通り、梅雨に入ることを意味します。梅雨に入る時期は、地域や年によって異なります。

なお、立春から数えて135日目(毎年6月11日ごろ)のことも「入梅」と呼びます。暦の上では、この日から梅雨に入るということです。

現代のように気象学が発達していなかった江戸時代、入梅は田植えの日を決める目安でした。梅雨入りの時期を知ることは、今以上に大切だったのですね。

梅雨の言葉(6)送り梅雨(おくりづゆ)

送り梅雨とは、梅雨明けのころに降る雨を意味します。

送り梅雨は雷を伴うことが多く、集中豪雨になることも。まさに梅雨を“送り出す”かのようです。

送り梅雨が訪れたら、梅雨明けも目前。真夏の訪れも間近です。

梅雨の言葉(7)出梅(しゅつばい)

出梅とは、梅雨が終わる日のこと。いわゆる「梅雨明け」を指しています。

出梅は入梅と同じく、地域や年によって異なります。また「梅雨が明けない」場合もあります。

梅雨明けの基準は、実はあいまいです。気象庁の発表も「梅雨明けしたとみられる」といった表現ですよね。

真夏のような天気にならず暦の上で立秋を超えると、「梅雨明けなし」となります。

梅雨の言葉(8)戻り梅雨(もどりづゆ)

戻り梅雨とはその名の通り、梅雨が戻ってくること。梅雨が明けたにも関わらず、再び雨が続く状態を指す言葉です。

戻り梅雨は別名「返り梅雨」(かえりづゆ)や「残り梅雨」(のこりづゆ)と呼ばれることもあります。

「残り梅雨」と呼ぶと、何だか“残り福”。何かいいことがあるかも……と捉えて、戻ってきた梅雨を穏やかに愉しみたいものです。

梅雨といっても天気は色々

梅雨と言っても、梅雨前線の動きや位置によって、天気は変化します。

たとえば雨が降らない「空梅雨」になったり、雨が続いたかと思うと突然「梅雨晴れ」が訪れたり。

梅雨時期ならではの天気を表す言葉を、5つ紹介します。

梅雨の言葉(9)陽性梅雨(ようせいばいう)

陽性梅雨とは、降るときは短期間に激しく降り、降らないときはすっきり晴れる梅雨を意味します。

大きく分けるなら、西日本は陽性梅雨です。スコールのような激しい雨が降る梅雨が、西日本では多い傾向があると言われています。

梅雨の言葉(10)陰性梅雨(いんせいばいう)

陰性梅雨とは、弱い雨がしとしと降り続くタイプの梅雨を意味します。

大きく分けるなら、東日本は陰性梅雨です。やみそうにない雨がのんびりと降る梅雨が、東日本では多い傾向があると言われています。

梅雨の言葉(11)空梅雨(からつゆ)

空梅雨とは、雨量の少ない梅雨のことを指します。

空梅雨には別名があります。「旱梅雨」(ひでりづゆ)や「照り梅雨」(てりつゆ)、そして「枯れ梅雨」も、同じくあまり降らない梅雨を意味します。

ちなみに「旱梅雨」という字は、“早”ではありません。“日”の下に“干”という漢字を加えて、“旱”(ひでり/カン)という字になります。

「旱」の漢字を使った四字熟語に、「旱天慈雨」という言葉があります。

意味は、「日照り続きのときに降る、恵みの雨」。そこから転じて、「待ち望んでいた物事の実現」や「困っているときにさしのべられる救いの手」にたとえられることも。

梅雨の雨を救いの手と感じられたら、長雨のときも穏やかに過ごせそうです。

梅雨の言葉(12)梅雨寒(つゆざむ)

梅雨寒とは、梅雨に訪れる季節はずれの寒さのこと。梅雨寒は別名で、「梅雨冷」(つゆびえ)と呼ばれることもあります。

桜の時期の「花冷え」など、日本語には一時的な寒さを表す言葉があります。

季節の進み方は、一直線ではありません。進んだり戻ったり、そしてまた進んだり。

季節の移ろいを柔らかく受け止めて、心豊かに過ごしたいものですね。

梅雨の言葉(13)梅雨晴れ(つゆばれ)

梅雨晴れとは、梅雨中の晴れ間を意味します。長雨の合間に晴れた日があると、洗濯物もすっきり乾いて清々しいですよね。

梅雨中の晴れ間を表す言葉といえば、「五月晴れ」(さつきばれ)もあります。ただし近年、五月晴れの意味合いが少し変わってきているのだそう。

「五月晴れ」は、もともとは「梅雨の晴れ間」のことですが、今では「5月のすがすがしい晴れ」を指すことばとしても使われています。

(引用)NHK放送文化研究所「「五月晴れ」の使い方は?」

今では、新しい使い方もされるのですね。理解を示しつつ、でもやはり本来の用法を正しく理解しておきたいものです。

本来の梅雨ではない“梅雨”

雨の多い日本には、いくつかの梅雨があります。たとえば、菜の花が咲く季節の「菜種梅雨」や、ススキの穂が揺れる季節の「すすき梅雨」も。

北海道特有の「蝦夷梅雨」や伊豆地方の「筍梅雨」など全国の梅雨を含め、本来の梅雨ではない梅雨の言葉を5つ紹介します。

梅雨の言葉(14)菜種梅雨(なたねづゆ)

菜種梅雨とは、3月中旬から 4月上旬にかけて、菜の花が咲く頃に降る長雨を意味します。菜の花の香りが漂ってきそうな、風流な言葉ですね。

菜種梅雨のお天気は、まさに梅雨とそっくり。くもったり、雨がしとしと降ったりします。

春に降り続くため「春の長雨」という別名も。また、菜の花をはじめ、さまざまな花を咲かせる(催す)ことから、「催花雨」(さいかう)という美しい別名もあります。

梅雨の言葉(15)すすき梅雨

すすき梅雨とは、8月後半から10月にかけて、すすきの時期に降る長雨を意味します。

風に揺れるすすきの穂と、しとしと降る雨。繊細なイメージがよく合いますね。

秋を迎えるころに降り続くため「秋霖」(しゅうりん)という別名もあります。「霖」とは長々と降り続く雨のこと。おおむね「3日以上」が基準となります。

梅雨の言葉(16)山茶花梅雨(さざんかづゆ)

山茶花梅雨とは、11月下旬から12月上旬にかけて、山茶花が花咲く時期に降る長雨を意味します。

山茶花梅雨は、薄く繊細な山茶花の花びらを水で濡らします。そのため「山茶花散らし」という別名もあります。

ニュースを聞いていると「明日は低気圧が発達し、山茶花散らしの雨が降るでしょう」といった天気予報を聞くこともあります。

山茶花の花を散らせる長雨が降れば、間もなく寒い冬の訪れ。次は椿が咲き、澄み切った冬の空気をあでやかに染めてくれます。

秋から冬へ、季節の移ろいを感じれば、山茶花梅雨も愛しいものになりそうですね。

古来愛され続けてきた冬の花、椿。庭木として植えておくと鮮やかな花を長く咲かせ、さみしくなりがちな冬の庭に彩りを添えてくれます。ところが椿だと...

梅雨の言葉(17)筍梅雨(たけのこづゆ)

筍梅雨とは、筍が生える4~5月ごろに吹く、湿った南風を指します。雨ではなく“風”を指す言葉なんですね。

筍梅雨は元々、伊豆地方の漁師さんの言葉です。涼やかな南風ではありますが、多くは雨を伴います。

「雨後の筍」という言葉があるように、雨が降った後は筍が次々と顔を出します。天候の変化を知る目安として「筍梅雨」という言葉が生まれ、伝わってきたのですね。

梅雨の言葉(18)蝦夷梅雨(えぞつゆ)

蝦夷梅雨とは、北海道の太平洋側で、7月頃に降り続く長雨を意味します。

よく「北海道には梅雨がない」と言われます。やや時を置いて、梅雨に似た天候が訪れるのですね。

蝦夷梅雨は本州の梅雨のように、激しい豪雨が降ったり、高温多湿に悩まされたりといったことはありません。

薄曇りの日が続いたり、晴れてもすぐ降ったり、空気が生ぬるかったり……。そんな曖昧な天気が続く時期を指して、蝦夷梅雨と呼ぶのです。

はっきりしないお天気ではありますが、蝦夷梅雨前線が北海道に差し掛かると、ラベンダーが見ごろを迎えます。

ラベンダーにとっての恵みの雨と思うと、蝦夷梅雨も心穏やかに過ごせそうですね。

ラベンダーの種類はさまざまです。たとえば、香り豊かなイングリッシュラベンダー。その他、花姿が可憐なフレンチラベンダーや、レース状の葉が印象的...

その他、梅雨を知らせる花も

最後にもう一つ、「梅雨葵」という言葉を紹介します。

梅雨の言葉(19)梅雨葵(つゆあおい)

梅雨葵とは、タチアオイという花の別名です。梅雨の花といえば紫陽花を思い浮かべますが、タチアオイも梅雨に咲く花です。

タチアオイは「立葵」と書き、まっすぐに伸びた長い花茎に、ハイビスカスのような大ぶりの花を咲かせます。

日本では、「タチアオイの花がてっぺんまで咲くと梅雨が明ける」と言われます。タチアオイの咲き方を見れば、梅雨の進み方が分かるのです。

花は一気に咲かず、下から上へと咲き進みます。下の花が咲く頃、梅雨入りします。

そして花は咲き進み、少しずつ上の花が開くようになります。もっとも上のつぼみが開いたら、梅雨明け……と言われてきました。

花を愛でるうちに梅雨が明ける。先人たちの知恵や感性を、これからも受け継いでいきたいものですね。

雨の中、ひたむきに咲く紫陽花の姿には、梅雨ならではの風情があります。しとしと降る雨に打たれると花色も映え、輝いているかのようですね。 ...

まとめ

梅雨にまつわる言葉を19種類紹介しました。これまで持っていた梅雨のイメージが、少し変わったのではないでしょうか?

梅雨は、新緑が日増しに色鮮やかになっていく時期でもあります。その様子を指して「青梅雨」(あおつゆ)という言葉も存在します。日本語の美しさを知ることは、季節を愉しむことにもつながりますね。

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