凛と咲く冬の花、椿。山茶花との違いは?魅力と3つの見分け方

古来愛され続けてきた冬の花、椿。庭木として植えておくと鮮やかな花を長く咲かせ、さみしくなりがちな冬の庭に彩りを添えてくれます。ところが椿だと思っていたら、実は山茶花だったというケースも……。

椿と山茶花の違いは、「花の散り方」「開花時期」「葉の姿」の3つがポイントです。冬の花・椿を愉しむために、椿の魅力や山茶花との見分け方をお伝えします。

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椿は目指したい女性像そのもの

日本の冬を代表する花、椿。その魅力といえばやはり、その気取らない美しさです。

優美で控えめ、それでいてさりげない存在感がある花。椿には、日本人女性の美意識を感じさせるエッセンスが詰まっています。

花椿は、資生堂のシンボルとして有名です。日本人女性の美を真摯に追求してきた資生堂と椿は、イメージがぴたりと重なり合いますね。

椿は、究極の美意識をもつココ・シャネルが生涯愛した花でもあります。椿の英語名である「カメリア」(Camellia)は、シャネルの代表的モチーフとしてもあまりに有名ですね。

また花だけではなく、艶やかな葉も椿の魅力の一つ。常緑樹なので冬も深緑を誇り、生垣として、そして目隠しやガーデニングの背景としても活躍します。

深緑の葉と、鮮やかな色合いの花。雪が降り積もれば、得も言われぬ絵画のような光景に。謙虚な佇まいの中に完全なる美しさを秘めた椿は、まさに日本の冬を代表する花と言えます。

椿と山茶花3つの見分け方

一方の山茶花(サザンカ)も、同じくツバキ科ツバキ属の花。ひんやりとした空気の中で、可憐に咲く冬の花として、愛されてきました。

また童謡『たき火』で「さざんか さざんか さいたみち」と歌われるように、懐かしい冬の情景を想わせる花でもありますね。

椿と山茶花といえば、花も葉も似ていて、見分けるのがむずかしい花です。でも大丈夫、椿と山茶花を見分けるには、いくつかの方法があります。主なものを3つ紹介しましょう。

椿と山茶花の見分け方、分かりやすい順に並べると次の通りです。

  • 花の散り方
  • 花が咲く時期
  • 葉の様子

一つずつ詳しくお伝えします。

1. 花の散り方

椿と山茶花の違いで、もっとも分かりやすいのは「花の散り方」です。

  • 椿・・・・・・・・・・花首からぽとりと落ちます。
  • 山茶花・・・・・・花びらが一枚ずつはらはら落ちます。

花全体が丸ごと落ちるなら椿です。

一方、花びらが分かれて散っていくなら、山茶花です。

花が咲いているなら、花の散り方を見るのが、もっとも簡単な見分け方ですね。

2. 花が咲く時期

椿と山茶花の見分け方として、もう一つ知っておきたいのが「開花時期」です。地域や品種によっても異なりますが、開花時期は次のような違いがあります。

  • 椿・・・・・・・・・・12~4月。
  • 山茶花・・・・・・10月~12月。

つまり山茶花は晩秋に咲き始め、椿は寒いさなかに咲くということです。

違う言い方をすれば、「秋が終わりを告げ、本格的な冬に向かう季節」に咲くのが山茶花、「寒さは厳しいものの、春の兆しが感じられる季節」に咲くのが椿ということですね。

椿という字は、「木」に「春」と書きます。椿が咲けば春近し……と思うと、なおさら椿の開花が待ち遠しくなりますね。

ちなみに椿と山茶花では、花姿も異なります。椿は花が開き切らず、いわゆる筒状のままで開花します。一方の山茶花は、根元から四方に広がるように咲きます。

花の散り方だけではなく、花姿も意識して見比べてみてくださいね。

3. 葉の姿

もう一つ、椿と山茶花の見分け方で知っておきたいのが「葉の姿」です。花が咲いていない時期であれば、葉っぱで見分けましょう。

葉の形もよく似ていますが、違う点がいくつかあります。まずは、葉の大きさと縁の形について。

<葉の大きさ>

  • 椿・・・・・・・・・・5~12cmと比較的大きめ。
  • 山茶花・・・・・・3~7cmとやや小ぶり。

<葉の縁(ふち)>

  • 椿・・・・・・・・・・ギザギザはない。
  • 山茶花・・・・・・ギザギザが目立つ。

たとえばこの葉のように、縁にギザギザがあれば山茶花ということです。

椿と山茶花の違いを見分けるには、葉脈や裏側の毛もヒントになります。

<葉脈>(太陽にかざして見た場合)

  • 椿・・・・・・・・・・黒い。
  • 山茶花・・・・・・白く透き通る。

<葉の裏側の毛>

  • 椿・・・・・・・・・・ほぼ毛はない。
  • 山茶花・・・・・・葉脈に沿って毛がある。

これだけの違いがあれば、見分けがつきますね。花が咲いていない時期に見分けようと思ったら、縁の形を見たり裏返して見たり、太陽にかざしてみたり、いろいろ試してみてください。

ただし、見分けが難しい品種もあります

椿と山茶花の違いを説明してきましたが、実は見分けがむずかしい場合もあります。

椿も山茶花も、どちらもツバキ科ツバキ属の花です。品種改良が進んだことで、似た性質をもつ品種も出てきているのです。

たとえば、椿と山茶花の交配種である「寒椿」はその代表例。椿でありながら、花びらが一枚ずつ散ります。また開花時期も早めです。

椿も山茶花も、その品種は多岐にわたります。それだけ日本の冬の暮らしになじみ、愛され続けてきたということでしょう。

あまり厳密に区別することにこだわらず、ただ純粋に美しさを愛でる……という愉しみ方が適しているのかもしれませんね。

庭木に使うには?

椿や山茶花は、冬に花をつける庭木として愛されてきました。「庭木に植えてみようかな」と思う方のために、実際に育てていて実感するポイントを3つお伝えします。

1. 両方植えれば、冬の間ずっと愉しめます

椿と山茶花、どちらを植えようかと迷っているなら、両方植えることをおすすめします。

椿と山茶花は、少しずつ開花時期が異なります。重なる時期もありますが、山茶花は秋の終わりから初冬に向けて咲き、椿は冬から初春に向けて咲きます。

つまり両方を植えておけば、冬の間中どちらかが、もしくは両方咲いているということです。どちらを植えようか迷ったら、ぜひ両方を植えてみてください。

山茶花の開花に冬の到来を知り、椿の開花に春を待ちわびる。山茶花と椿があれば季節の移ろいを知るよすがとなり、季節を愉しむことにつながります。

2. 剪定は3~4月に、花芽ができてからは切らないこと

椿や山茶花の樹形を整えるには、剪定が欠かせません。椿と山茶花、どちらとも花が咲き終わった後、「3~4月」を目安に剪定してあげましょう。

ただし後ほどお伝えしますが、4月になれば毛虫が活動し始めます。できれば3月ごろに剪定しておくと安心です。

くれぐれも避けたいのが、6月以降に剪定することです。

春を迎えて枝をぐんと伸ばした後、6月以降は花芽を形成します。花芽ができてから剪定すれば、せっかくの花芽を落としてしまう可能性もあります。

翌年もたっぷりと花を咲かせるために、花芽ができてからの剪定はやめましょう。

ただし花芽がふくらみ始める9月ごろ、花芽を確認しながら、不要な枝を切り戻すのは構いません。寒い冬に美しく咲く姿を想像しながら、大事に剪定してあげましょう。

3. 椿も山茶花も毛虫に注意を!

椿と山茶花の花を間近で愛でるとき、そしてお手入れをするときに気をつけたいことがあります。

それは「椿と山茶花はチャドクガ(毛虫)がつきやすい」ということです。

チャドクガは毒針毛(どくしんもう)と呼ばれる毒を含んだ微細な針を持ち、触れるとかゆみや痛みなどを伴う毛虫皮膚炎を起こします。

直接触らなくても、何かの拍子で毒針毛が飛び、皮膚炎を起こすこともあるため注意が必要です。

もしも蚊に刺されたような跡ができ、赤みが広がったら、毛虫皮膚炎かもしれません。こすると針が深く刺さる可能性があるため、まずは流水で十分すぎるほど洗い流しましょう

その上で、すみやかに皮膚科を受診することをおすすめします。

皮膚科では、炎症をおさえるための抗ヒスタミンやステロイドの塗り薬が処方されます。正しく薬を使えばきちんと炎症は引くので、安心してくださいね。

まとめ

椿と山茶花はとても似ていますが、見分けるポイントも多い花です。ただし品種改良も進んでいますので、その多様さを純粋に愉しむのも良いでしょう。

日本各地に椿の名所がありますが、「東の大島、西の五島」と称されるように、伊豆大島と長崎・五島列島は椿の自生地として有名です。椿が咲く季節、椿を愛でる“椿旅”に出かけるのも、冬を愉しむにはいいですね。